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Stand By Me! ~子どもの自尊感情を育てる~

~我々大人は子どもたちの思いにどれだけこたえられているでしょうか。それが今、私たち大人に求められているのではないでしょうか。そばに寄り添い、同じようにかなしみ、同じように不安になり、そして、一緒になって飛び跳ねて笑い合う。ともに成長していく中で、基本的自尊感情はどんどん厚みを増していくはずです。~

「自己〇〇」という言葉がありますよね。 

「自己肯定感」「自己評価」「自己受容感」「自己有用感」「自己有能感」「自己効力感」・・・。自尊感情について考えるときに関係性のある言葉です。

自尊感情とは・・・

自尊感情(self-esteem:セルフ・エスティーム)とは、自分自身を価値ある者だと感じる感覚です。

あるがままの自分を受け入れ、自分をかけがえのない存在として、丸ごとそのままに認める感情です。よいところも悪いところも、長所も欠点も併せ持った自分を大切な存在として尊重する感情。この感情こそが、自尊感情の基礎を支える大切な感情なのです。

「子どもの自尊感情をどう育てるか」 近藤 卓 氏より

誰でも長所もあれば短所もあります。できることもあればできないこともあります。それら全てを含んで、自分がかけがえのない存在だと感じることが、自尊感情です。

自尊感情とは、自分をきちんと評価し受け入れること、自分の意見をしっかり言えて自己決定できること、人間関係の中でしっかり生活していると感じることです。

自尊感情は、心と体の健康を保つために必要なものとなると思います。

自尊感情を高める!?

1980年代にアメリカで、「自尊感情」の低い子どものたちの存在が問題視されはじめたようです。貧しく社会的弱者の立場にある家庭に生まれ、学力も低く自信が持てず、社会に出ても意欲をもって生きていくことができない子どもたちの問題でした。そうした子どもたちに自信を持たせ、自尊感情を高めるための教育活動が行われました。ところが、その結果は期待したものにはならず、学力が上がらないだけでなく、自分勝手で自己中心的子どもが増えただけだったようです。

アメリカで、弊害が多いという一つの結論が出たのと、時を同じくして、日本で「自尊感情」を高める運動が起きたようです。(しかし、新任当時はそんなにこの言葉を聞かなかったと記憶していますが・・・)

「自尊感情」を高めるのは間違いなの?

決してそんなことがないのはお分かりですよね。「自尊感情」が低い子どもたちが増えてきているのは事実でしょうから・・・。だた、間違った高め方をしてしまったという事だけでしょう。

二種類の自尊感情・・・

近藤 卓 氏は「自尊感情」を二種類に分けています。

「基本的自尊感情」と「社会的自尊感情」です。

4つの図のそれぞれ下の四角の部分が「基本的自尊感情」、上の半円状の部分が「社会的自尊感情」です。

ほめて伸ばす!?

「ほめて伸ばす」という言葉がありますよね。しかし、その弊害を指摘している方もいると思います。

ほめて、認めて、見つめられる中で、伸びる・膨らむのが社会的自尊感情。また、他者との比較による相対的な優劣による感情も社会的自尊感情に影響します。

前述のアメリカの失敗は、この部分を伸ばすことだけになってしまったのかぁと思います。

一見、優等生的に見える「社会的自尊感情」が膨らんでいる子。

いろいろなことを積極的に行い、勉強もある程度でき、何も心配の必要はないだろうと思われるタイプ。

最近の子どもたちを見ていて思うのは、「打たれ弱い子が多い」という事でしょうか。たくさんほめられて、たくさん認められて、たくさん見つめられて、成長している(ように見える)。

逆から見れば、「ほめられなければやらない」、「認めてくれなければやらない」「見ててくれなければやらない」なんて子たちを多くしてなかったかなぁと思います。ちょっと叱られると、一気に萎んでしまい、すねる。やる気をなくす、(中には暴れて、物を壊したり・・・)

本当に大切なのは、「基本的自尊感情」の方です。これがしっかりと育っていないと一度潰れてしまうと、再度立ち上がるのに大変な力を要しますし、たちあがれない、となり、最悪の事態になってしまうことも・・・。

社会的自尊感情が発達していて、基本的自尊感情が発達していない子は、一見とても頑張り屋さんで何も心配ない子のように思われがちですが、実は一番心配な子になります。

基本的自尊感情をはぐくむには・・・

「基本的自尊感情」は昨日、今日では育ちません。一枚一枚の紙を一枚ずつ重ねていくような形で、長い時間をかけて成長させていくものです。

「基本的自尊感情」を育てるのには、まずは「基本的信頼」の獲得です。生まれてすぐの親、もしくはそれに代わる保護者との間で、「この人は信頼できる人だ」と思う、思われることです。「この世界は安心できるところだ」「ここにいていいのだ」という思いに満たされれば、希望をもって進んでいくことができるのです。

また、基本的自尊感情を支える基盤には基本的信頼に加え、無条件の愛があります。無条件の愛とは、条件なしの絶対的な愛です。

ただし、この無条件の愛、絶対的な愛は子どもがそれを実感できなければ、親の一人よがりになってしまいます。

絶対的で無条件の愛を伝えるときには、それに釣り合うほどの「禁止」が必要です。説明抜きで、とにかくダメなことです。一番の例は「人を殺してはいけない」でしょう。その、絶対的禁止を説明抜きに子どもに伝えられた時、その人は同時に無条件の愛を伝えられると思います。

基本的信頼と無条件の愛によって、基本的自尊感情の基盤ができれば、その上にさらに、少しずつ積み重なっていくことになって成長していくことになります。。その積み重ねは共有体験です。

共有体験が基本的自尊感情を育む

共有体験によって、少しずつ、基本的自尊感情は厚みを増していきます。

ゆっくりとした歩みでしょうが、共有体験のたびに、確実に厚みを増していきます。

空を飛んでいる鳥を見て、子どもが鳥を指さす→親が「鳥さん気持ちよさそうだね」などと語ります。

ヨモギ団子を作るために、公園に行き、これがヨモギだと教えながら、摘み取り、家で湯がいて、つぶして団子にまぜる。そして一緒に食べながら、「おいしいねぇ」と食べる。そんな共有体験です。

共に歩んでいく

現代社会において、価値観が多様化し、子どもたちも孤立し、不安な日々を送っていることも少なくありません。日常生活における共有体験が少なくなっています。

人生には楽しい時やうれしい時もあれば、悲しい時は苦しい時もありますよね。湧き上がる感情を信頼できる人たちと共有することができれば、それにより、自分の感情を受け入れ、自分を受け入れて、基本的自尊感情が少しずつ育まれていくはずです。

不安な時に一人で孤立することほど、悲しいことはありませんよね。大人だってそうだし、子どもならなおさらでしょう。そういう時に信頼できる大人がいてくれたら、思いを共有することができたら、どれだけ安心できるでしょう。

Stand By Me(そばにいて)

我々大人はその思いにどれだけこたえられているでしょうか。それが今私たち大人にもとめられているのではないでしょうか。そばに寄り添い、同じようにかなしみ、同じように不安になり、そして、一緒になって飛び跳ねて笑い合う。ともに成長していく中で、基本的自尊感情はどんどん厚みを増していくはずです。